皆さん、こんにちは。大阪府箕面市のおもと歯科クリニックです。
「むし歯は子どもに感染する」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。実は、むし歯菌は親や周囲の大人から子どもへ感染することが分かっています。特に小さな子どもは、自分でしっかりと歯を磨いたり、食器を分けたりすることが難しく、家族の影響を受けやすいのです。
そこで本コラムでは、むし歯菌の感染メカニズムや、感染しやすい時期、家庭内での感染予防方法について詳しく解説していきます。大切なお子さんの歯を守るために、ぜひ参考にしてください。
▼赤ちゃんのお口にはむし歯菌がいない?
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、実はむし歯菌が存在しません。むし歯の原因となるのは「ミュータンス菌」という細菌ですが、この菌は元々赤ちゃんの口腔内にいるものではなく、後天的に感染するものです。
では、どのようにして赤ちゃんの口にむし歯菌が入り込むのでしょうか?その多くは、家族との接触によるものです。特に母親や父親が使ったスプーンや箸を共有したり、口移しで食べ物を与えたりすることで、むし歯菌が赤ちゃんの口に移行してしまうのです。このようにして、むし歯菌が赤ちゃんの口の中に住み着くと、将来的にむし歯のリスクが高まります。
▼感染の窓が開く時期に要注意
むし歯菌が赤ちゃんに定着しやすい時期は、生後19ヵ月から31ヵ月の間とされています。この期間は「感染の窓」と呼ばれ、特に注意が必要です。
なぜこの時期にむし歯菌の感染リスクが高まるのでしょうか?それは、赤ちゃんの歯が生えそろい、口腔内の環境がむし歯菌の繁殖に適した状態になるからです。最初にむし歯菌が住み着くと、その後もお口の中で増えやすくなり、一生涯にわたってむし歯になりやすい体質を作ってしまう可能性があります。
このため、感染の窓が開く時期には特に注意し、むし歯菌が赤ちゃんの口に移らないような対策を講じることが大切です。家族が日頃から口腔ケアを徹底することが、赤ちゃんの歯を守る第一歩となります。
▼子どものむし歯の感染経路は家族?
むし歯菌の感染経路として最も多いのは、一緒に暮らしている家族です。特に、母親や父親、祖父母など、赤ちゃんと頻繁に接触する人が主な感染源となります。
例えば、以下のような行動がむし歯菌の感染を引き起こす原因となります。
・食器や箸を共有する
・口移しで食べ物を与え
・キスをする
・口に含んだスプーンを使う
こうした行動は赤ちゃんとのスキンシップの一環として自然に行われることが多いですが、むし歯菌の感染リスクを高めることを理解しておくことが重要です。
また、家族にむし歯が多い場合、赤ちゃんに感染する確率も高まります。特に、むし歯の治療をしていない場合、口腔内のむし歯菌が多くなるため、感染のリスクがさらに上がります。
▼むし歯の家族感染を防ぐ方法
むし歯菌の家族感染を防ぐためには、次のような対策を実践することが有効です。
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家族全員が口腔ケアを徹底する
むし歯菌は、むし歯がある人ほど多く持っています。そのため、まずは家族全員が歯科検診を受け、むし歯がある場合は早めに治療を行いましょう。また、毎日の歯磨きやフロスの使用を習慣化し、口腔内のむし歯菌を減らすことが大切です。そうすることで、お子さんの歯をむし歯菌から守ることが可能となります。
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食器の共有を避ける
親が使ったスプーンや箸を赤ちゃんに使わないようにしましょう。また、口移しで食べ物を与えることも避けることが望ましいです。赤ちゃん専用の食器を用意し、家族と分けて使用するようにしましょう。
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キスやスキンシップに注意する
赤ちゃんに対する愛情表現として、ほおや口にキスをすることがよくありますが、むし歯菌の感染を防ぐためには注意が必要です。頬や手にキスをすることでスキンシップをとるなど、むし歯菌が移らない方法を心がけましょう。もちろん、これは一生涯続ける必要はありません。感染のリスクが高くなる感染の窓が開く時期だけでも実践することで、お子さんのむし歯リスクを大きく下げられます。
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食生活を工夫する
砂糖が多く含まれる食品や飲み物は、むし歯菌のエサになりやすいため、赤ちゃんの食事に注意が必要です。特にジュースや甘いお菓子は控え、バランスの取れた食事を心がけましょう。
▼まとめ
赤ちゃんの口の中には、もともとむし歯菌は存在しません。しかし、家族との接触を通じて感染するリスクが高く、特に「感染の窓」と呼ばれる生後19ヵ月から31ヵ月の間は注意が必要です。子どもがむし歯菌に感染しないようにするためには、家族全員が口腔ケアを徹底し、食器の共有を避けるなどの対策を行うことが大切です。
大切なお子さんの歯を健康に保つためにも、日頃からむし歯予防に取り組み、定期的な歯科検診を受けるようにしましょう。おもと歯科クリニックでは、子どものむし歯予防についてのアドバイスも行っていますので、お気軽にご相談ください。
記事の監修 おもと歯科クリニック 院長 尾本直大 ![]() |