皆さん、こんにちは。大阪府箕面市のおもと歯科クリニックです。
お子さんの歯並びや噛み合わせが気になったことはありませんか?「まだ小さいから大丈夫」「大人の歯が生えそろってからでいい」と思われるかもしれませんが、実は子どもの時期から矯正治療を始めることで、将来的な歯並びの問題を予防できる場合があります。子どもの矯正治療には、大人の矯正とは異なる特徴があり、治療の種類や費用、期間もさまざまです。本コラムでは、子どもの矯正治療について詳しく解説していきます。
▼子どもの歯の矯正治療の特徴
子どもの矯正治療は、成長発育を利用できる点が大きな特徴です。大人の矯正は歯を動かすことが主な目的ですが、子どもの場合は顎の成長をコントロールしながら、将来的に正しい噛み合わせへと導くことができます。また、子どもの矯正は永久歯が生えそろう前に行う「1期治療」と、生えそろった後の「2期治療」に分けられます。1期治療では、歯が並ぶスペースを確保したり、顎の成長を適切に誘導したりすることが目的です。
早期に矯正を始めることで、将来的に抜歯をせずに済む可能性が高まり、より自然な形で理想的な歯並びに導くことができます。また、歯並びが整うことで歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病のリスクを軽減できるというメリットもあります。
▼子どもの歯の矯正治療の種類
子どもの歯の矯正治療では、さまざまな種類の装置を使用します。ここでは代表的な5つの種類の装置をご紹介します。
【種類1】マルチファミリー
マルチファミリーは、柔らかいシリコン製のマウスピース型矯正装置です。主に歯並びの悪化を予防したり、口の周りの筋肉を鍛えたりする目的で使用されます。取り外しが可能で、就寝時や自宅にいる時間帯に装着することが推奨されています。比較的負担が少なく、矯正を始めるきっかけとして適している装置です。
【種類2】ムーシールド
ムーシールドは、受け口(反対咬合)の治療に特化したマウスピース型の装置です。3歳頃から使用可能で、早期に受け口の改善を図ることで、将来的な骨格的な問題を防ぐことができます。特に、下顎の成長を抑え、上顎の発育を促すことで正しい噛み合わせへと導く効果があります。
【種類3】床矯正装置
床矯正装置は、取り外し可能な装置で、顎を広げて歯が正しく並ぶスペースを確保するために用いられます。成長期に使用することで、顎の発育をコントロールしながら歯列を整えることができます。ワイヤー矯正に比べると見た目への影響が少なく、痛みも少ないのが特徴です。
【種類4】インビザラインファースト
インビザラインファーストは、小児向けのマウスピース型矯正装置で、透明で目立ちにくく、取り外しが可能です。永久歯が生えそろう前の時期から使用できるため、成長に合わせて歯並びを整えることができます。また、装置を外して食事や歯磨きができるため、口腔衛生を保ちやすいというメリットもあります。
ちなみに、インビザラインファーストは、小児矯正の1期治療に適応される装置で、2期治療では通常のインビザラインを使用することになります。インビザラインファーストと通常のインビザラインは、治療手順等ほぼ同じではありますが、前者は混合歯列期に使用する装置であるため、萌出タブという特別な構造が付与されていたり、お子さんが装着時間を管理しやすくなるコンプライアンスインジケータというパーツが付随したりしています。
【種類5】ワイヤー矯正(マルチブラケット装置)
ワイヤー矯正は、歯にブラケットを装着し、ワイヤーの力で歯を動かしていく治療法です。従来の方法ですが、確実に歯を動かすことができるため、より複雑な歯並びの改善にも対応できます。取り外しができないため、装着中はしっかりと歯磨きを行うことが重要です。
▼子どもの矯正治療の費用と期間
子どもの矯正治療の費用は、治療の種類や期間によって異なります。
マルチファミリー:5万~10万円程度
ムーシールド:5万~15万円程度
床矯正装置:10万~30万円程度
インビザラインファースト:40万~70万円程度
ワイヤー矯正:50万~100万円程度
また、治療期間は一般的に1~3年程度が目安となりますが、症例によって異なります。1期治療は6カ月~2年程度で、顎の成長を利用して歯並びを整えます。その後、必要に応じて2期治療へ移行し、さらに1~2年かけて仕上げを行います。
▼まとめ
お子さんの歯並びは、将来の口腔環境に大きな影響を与えます。子どもの矯正治療は、顎の成長を活かしながら理想的な噛み合わせを目指すため、大人の矯正とは異なる特徴があります。また、さまざまな装置があり、それぞれの目的や費用、治療期間も異なります。お子さんの歯並びが気になる場合は、できるだけ早めに歯科医院で相談することをおすすめします。適切な時期に治療を始めることで、将来的に健康で美しい歯並びを実現できる可能性が高まります。
記事の監修 おもと歯科クリニック 院長 尾本直大 ![]() |